もうタイトル通り。
付け加えれば、外国人だって1人の人間である。
プリスクールで働いていると、そう実感することが多々ある。
こどもだから、外国人だからというフィルターを取れば、意外と物事がすんなりいくってことが本当によくある。
先日も、あるクラスでそれを実感したばかり。
こどもだからと、上からものを言って押さえつけようとしたって、決してそうはいかないってこと。
こどもだって1人の人間なのだから。
幼稚園でいう年中さんから入ってきたB。アメリカ人の父と日本人の母を持ち、家庭内言語はほぼ日本語。 父親は英語を話すが日本語もでき、妻とは英語、日本語が混ざった会話をする。
Bには英語のみで話すが、Bは日本語で返答する。
父親がネイティブ(英語話者)という恵まれた環境にありながら、我が子が英語を全く話さないこの状況に焦りを感じ、慌てて日本の幼稚園からプリスクールに転校してきたケースは、別にBが初めてではない。むしろよくあるケースだ。
Bの現在のクラスでの様子は、発話こそまだ十分ではないが、講師の言っていることは理解でき、すぐに行動に移すことができる。
友達と遊ぶのに不可欠な「貸して。」や「順番」といった表現はすぐに覚えたが、もう少し突っ込んだ「まだ使っているから貸せない 。」や「他をあたれ。」といった表現、主張となると日本語になるか、もしくは手が出る。
その度に講師が間に入り、Bの気持ちを代弁してやると、Bもすんなり納得し相手の子に逆におもちゃを譲ったりするなど、素直な性格で人間関係も特に問題なし。 楽しくやっている。
そんなBが最近、担任の外国人講師やアシスタント講師を悩ませていると聞き、私がクラスに入ることになった💦
"I don't want to." 😢
入るなり聞こえてきたのは、ベソをかいたBのこの声。
"What's wrong?"
そう声をかけながら側に寄ると、ライティングの時間だったことが分かる。 クラスのほとんどが1枚目を終え2枚目に入っているというのに、Bといえばまだ上から数えるぐらいの行しか書いていない。
"I don't want to." 😢
Bの主張は続く。
"Why?"
"Because I'm tired."😢
この状況であなただったらどうBに声をかけるか?
恐らく「疲れているのはみんな一緒。」とか、「やってないのはBだけ。」とか、大方そんなところではなかろうか。。
私も「疲れてるのはBだけじゃないよ。」と声をかけたところ、今度は、
"I'm hungry."😢
が返ってきた。 hungry が終われば、経験から次に来るのはthirstyである(笑)
これではらちが明かないと、どうすればいいか考えているうちに、ふとあることを思い出す。
Bの母である。
入学当初、父親のおかげで英語自体は理解しているので、Bの発話についてはそんなに心配はしていないと言っていた彼女。
ただ他の子に比べて明らかに劣っていて心配だと感じているのが、リーディングとライティングで、これなら自宅でフォローができると。。
それを外国人講師に伝えてやる。
すると講師が、家でもライティングはするのかとBに訊き、Bはそうだと答える。次に頻度はどのくらいかと訊くと毎朝登校する前だという。
それを聞いた講師は、
「みんながやっているものだから、Bだけやらないのはなし。ただ家でも頑張っているのはよく分かったから、どこまでならできるか言って欲しい。」
と、Bに意見を求めた。
するとBは1枚目の1番下の行を指す。2枚やるのは嫌だが1枚ならやると言う。
Ok.👍
交渉成立である。
そこからのBは速かった。あんなにぐずっていたのが嘘のように、集中してあっという間にかつ丁寧にライティングを仕上げてみせた。
自分でやると決めたことに大人もこどももない。
やると決めたらやるのは大人もこどもも一緒である。
あとで担当講師とも話したのだが、いつもほんの数行しか書かず、挙句最後には号泣してしまうBが、1枚はやると言い切ったのは正直とても驚いたと。
私は思う。Bは嬉しかったんだと。
頭ごなしに上から「やれ!」ではなく、きちんと自分に寄り添って同じ位置から話をしてくれたこと。大人の講師が自分を大人のように扱ってくれたのを。
だから、Bも私たちに歩み寄ったのだ。
こどもだって1人の人間である。
Bから、改めて学ばせてもらったこと。常に頭に入れて置くべき事項である。